shi−ki
〜薄紅〜
5
[みちる、その日には帰ってきて欲しい]
実家から電話があったのは3日前。お父さんの声、すごく緊張してた。
[とても有能な霊能力者だそうだ。その人に頼んであいりと話せれば、お母さんも落ち着くだろうから]
本当に話をさせたいのは、お母さんじゃなくてあたしの方でしょ。
「別に、あたしが行くことないでしょ」
つっけんどんに返事をすると、お父さんは、少し黙った。
[..みちる、お母さんも、みちるに来てほしいって言ってる。どうしても都合が悪ければ、日を変える]
嘘。違う日にする気なんか無いくせに。だってその日は、お姉ちゃんの命日だ。
血溜まりに倒れていたお姉ちゃんを見つけたのは、あたし。もう、2年も前。
たった一時間のことだった。あたしが買い物へ行って、お姉ちゃんは一人で家に残された。その一時間で....殺されて、しまったのだ。
[お願いだ。来てくれ、みちる....]
震える声で2時間近く説得されて、あたしは渋々ながら、家に帰ることを承諾した。
次へ
TOP