shi−ki
〜薄紅〜
3
6時間目の終了を告げるブザーと同時に、日直の号令が聞こえた。
居眠りのせいでボーっとした頭を軽く振りながら、先生に向かっておじぎする。
これでやっと、学校の授業が終わった。長かったー。
鞄に、ノート代わりのバインダーと教科書を詰め込んでいると、「みっちー」と声を掛けられた。
ちなみに、「みっちー」とはあたし、板谷(いたや)みちるのあだ名。幼稚園の頃からこう呼ばれてる。ついでに言うと――みんなの想像通り―あの歌でよくからかわれたもんよ。あの♪みっちゃん、みちみち..♪ってやつ。
「なぁにー?」
声のほうに振り返って、尋ねる。親友のリンが立っていた。
「あのね、今度の日曜なんだけどぉ..ヒマ?」
リン―笹村鈴香(ささむらりんか)が、くりくりの大きな目を輝かせながら訊いてくる。
「今度の日曜?」
――4月17日....。
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