shi−ki
〜薄紅〜
14

「みちるっ?!」

 後ろから、お父さんが呼び止めようとしてる。それに構わず、あたしは走った。
 玄関を抜けて、木造の門までたどり着く。

「開いてっ!開けってばぁっ!!」

 いやに重たい門を、全身を使って押し開ける。
 やっと開いた細い隙間に、急いで身体をくぐらせた。

 門の外にいた通行人が、ぎょっとした顔でこっちを見る。あたしはスピードをあげて、目の前の通りを走り抜けた。

 どこに行くのか――。そんなこと、どうでもよかった。


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