shi−ki
〜薄紅〜
13

「違うよ…お姉ちゃんなんかじゃ、ない」

「みちる、何を……」
 突然のあたしの言葉に、お父さんが驚いた顔をする。目の前にいるお姉ちゃん――女の子は、困ったような、悲しんでるような表情を浮かべて、あたしを見ていた。

「どうせ、催眠術かなんかでもかけてるんでしょ?!お姉ちゃんに会わせるなんて、適当なこと言って……あたし達を騙してるんだ!冗談じゃないわよっ!!」

[みちる…]

 お姉ちゃんが、あたしの名前を呼ぶ。幻聴…空耳に決まってる!

「やだ…やめてよぉっ!お姉ちゃんの真似なんてしないで!そんな声で、あたしに話しかけたりしないで――っ!!」

 そう叫んだあたしは、堪らなくなって駆け出していた。


次へ
TOP