shi−ki
〜薄紅〜
11
なぁんだ、と拍子抜けした瞬間。
「…うそ……」
写真に乗せられた紙人形がふわりと起き上がると、徐々に膨らんできた。
あたし達の目の前で、紙人形は姿を変えていく。
細くて、頼りなかった手足が、しっかりとした腕や脚になる。小指の先くらいの大きさしかなかった頭の部分には、いつの間にか髪の毛が生えていた。
栗色でセミロングの髪。少し目尻の下がった黒い瞳――。
「あいり……?!」
「――お姉ちゃんっ?!」
目の前の少女が、あたし達の声に顔を上げる。
見間違いなんかじゃ、ない……。
そこにいるのは、あたしのお姉ちゃん。
板谷あいり、だった―――。
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