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"ADDICTED TO YOU"

ゆうきの受験番号は"349"

「ゆうき…」

「あったの?ないの?」

「補欠合格だ…。」

「補欠合格って何!?合格じゃないの?」

「受験者の中で合格を辞退する者がなければゆうきは合格にはならない…。」

「それじゃあまだわからないってこと?」

「うん。」

「じゃあ落ちるかもしれないってこと…?」

「うん。」

「そんなの嫌だ…私、頑張ったのに…。」

「うん、けどね、ゆうき…頑張ったのはゆうきだけじゃないんだよ。だから仕方ないんだ…。」

「…幸平と同じ高校に行けないのは嫌…。」

「僕だって同じさ。だから待とうよ。連絡が入るのを。」

ゆうきは頷いて、だけど少し肩を落として来た道を引き返し始めた。僕はゆうきの後をついて行き、家まで帰った。

家には両親が待っていた。

「あら幸平、早かったのね。どうだった?」

「僕は合格してたよ。」

「ゆうきちゃんは?」

「まだわからない…補欠合格だったんだ。」

「まぁ…。」

母親はすごく悲しそうな顔をした。補欠合格なんてどうなるかわからない。母親の気持ちもわからなくはなかった。

「合格すること祈ろうよ。」

「そうね…。」

「もしゆうきちゃんが合格しなかったらお前が嫁にでももらってやれ。」

父親が言った。

「なっ何言ってんだよ!?」

「父さんは知ってるぞ?」

ニヤニヤしながら父親が言う。

「なっ何をだよ!?」

「吃ってるぞ。動揺するな。」

「…何を知ってるって言うんだよ…。」

「お前がゆうきちゃんと付き合ってることだよ。」

「なっ…」

一応バレたらまずいだろうと思って親には隠していたつもりだった…。

「ごめんねぇ、母さんが言ったのよ。実は聡子さんから聞いちゃったのよ。うちのゆうきは幸平君と付き合ってるらしいのよって。」

「え!?おばさんから聞いたの!?」

「そうよ。」

「はぁ…隠してきてたつもりだったのに…。」

「隠すことないじゃないか。互いの両親は寧ろ二人の付き合いを認めるつもりだからな。」

「マジかよ!?僕、何の為に隠してたんだよ…。」

「まぁまぁ。これでいつでもゆうきちゃんと結婚できるじゃない。」

親公認なのかよ…何じゃそりゃ…。ていうかゆうきが受かるって信じようよ…嫁とか言うなよ…。

と心の中で思いながらも僕は親公認となったことに多少ながらも肩の荷が下りて楽になった。これでゆうきが合格すれば…。

3月の後半、ゆうきの家に居たら電話がかかってきた。ゆうきが出た。

「はい、もしもし。芹沢です。」

相手の声が微かに聞こえる。

「はい、芹沢ゆうきは私ですけど。」

どうやらゆうき宛らしい。

「え!?本当ですか?」

ゆうきの顔が綻ぶ。

「ありがとうございました、頑張ります。」

そう言ってゆうきは受話器を置き、居間のソファーに座っていた僕の方へ走って来て抱き着いた。あまりの勢いに僕は少しのけ反った。

「合格だって…」

「良かったじゃん!!おめでとう。」

「へへっ…。」

照れたようにゆうきは笑った。

ゆうきの母親が暫くして買い物から帰って来た。ゆうきは母親に繰上合格したことを報告した。ゆうきの母親はとても喜んでいた。そして僕に

「勉強を見てやってくれてありがとう、これからもゆうきのことを宜しくね。」

と言った。すごくすごく嬉しかった。

4月、桜は満開でとても美しく、そんな中で入学式に出られることはとても誇らしかった。

僕等は高校も一緒に登校することにした。

初日…入学式がメインなんだけど、僕にとってはクラス割り発表の方が重要だった。

クラス割り発表の掲示板には真新しい制服の群ができていた。やはり小さいゆうきには見えないらしく、僕のブレザーの裾を引っ張って早く見てと催促する。

「うわ…」

「何?何?私何組?」

「ゆうきは…5組。」

「幸平は!?」


―continue―
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