"ADDICTED TO YOU"

互いに想いが通じたのは中学2年の秋だった。しかしゆうきの方は完璧に僕を好きというわけではなく、担任の高橋のことも暫くは好きだったみたいで、授業中もずっと高橋のことを見ていたりした。ゆうきと高橋が話しているのを見たらすごくつらくなった。僕だけを見てほしいと強く思った。

そんな中で僕は気付いた…。

"付き合って"

って言ってない…。僕が伝えたのは、ゆうきが好きだってことだけ…。ゆうきも僕のことが好きと言ったけど、付き合ってくれなんて言ってない…。ヤバイ…!!これって付き合ったことにならないんじゃ…。

僕はそれに気付いた夕方、ゆうきの家に行った。

「ゆうき…。」

「何?」

「ゆうき、僕のこと…好き?」

「え?何、急に…。」

「聞いてるんだから、ちゃんと答えて。」

「え…好きだけど…。」

「ゆうきは僕の何…?」

「何って何…?」

「ゆうきは…僕とどういう関係だと思ってるの?ってこと。」

「…幼馴じみ?」

「…。」

「だってそうじゃない。幸平、私に好きとしか言ってない。彼女だなんて思って良いわけ?」

「…ごめん。」

「ねぇ…幸平。」

「何?」

「私の彼氏になって…そしたらもう先生のことは諦めるから…。」

「…。」

僕は無言でゆうきを抱きしめた。ゆうきはびっくりしていたが、暫くして"幸平、大好き…。"と呟いた。

すごく幸せだった。ゆうきを僕だけのものにできた気がした。そんな簡単じゃないってこと…わからないはずなかったのに…。

ゆうきは昔から飽き性だ。そして移り気。僕のことだけを好きで居てくれる時間はすごく短いかもしれないとわかっていたのにその時は忘れていた。

僕たちは中学3年になった。順調に恋人同士の関係は続いていた。ゆうきにしては長く続いているなと感じていた。だけどやはり予期していたことが訪れた。

それはある日の帰り道…

「ねぇ、幸平。」

「何?」

「今日さぁ、結城君から告白されちゃった。」

「で…?」

「でって何よ。心配じゃないの?」

「慣れてるから。ゆうきは可愛いし、モテるって知ってる。」

「…断ってないよ。」

「は?」

「結城君、かっこいいし…だけど今は彼氏がいるから考えるって言った。」

「何それ…僕等の関係がもう終わりそうな言い方じゃん…。何それ何それ…」

僕はゆうきの考えがあまりにも軽くて許せなくてパニックに陥った。どうしたら良いのかわからなくて、段々息苦しくなってきて、涙が出てきた。

「幸平…?」

「僕は…ゆうきのことが好きだけど…そんなこと考えてるゆうきは…ゆうきは…嫌い…。」

「…。」

「僕を試してるようなその態度も…嫌い…僕は…ただ僕のことを好きでいて欲しいだけなのに…」

「幸平…。」

「…それに…もしも結城と付き合って結婚とかしたら…結城ゆうきじゃないか…うっ…」

僕の意識はそこで途切れた。今考えると、最後の一言はかなり子供じみていたなと思う…。

気が付いたのはその日の夜。倒れた僕を目の前で見ていたゆうきが救急車を呼んでくれた。当たり前だ…。そして僕は病院に運ばれた。過呼吸が酷くて倒れたらしい。極度の緊張が原因らしかった。全部ゆうきのせいだと恨めば良いのに、それがゆうきのせいだと考えると、何だか愛おしくなった。ただの変態だ…。


―continue―
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