パステルグリーンの色彩で―9
「年長のころのは?」
妹と笑いながら、有紀の写真を見ていた母は、これよ、といって示した。
小学校のころにくらべると、かなり分厚い。義務教育でなかった分さぼって遊びにいってたってとこだろう。
「そのころは有紀も週末になるとおじいちゃんのとこによくいってたから、写真も多いのよ」
有紀の予想はあっさり崩されたが、核心に近付いたような気がしてきた。
アルバムを開くと確かにじいさんが写っている。しかし、なぜ小学校からはいかなくなったのだろう。
「幼稚園のころはおじいちゃん、おじいちゃんうるさかったのに、小学校に上がる前のお休みに遊びにいってからは、泣きじゃくっていくの拒否してたから。何があったのかは教えてくれなかったわ」
なんてことだ。アルバムみるより、聞いたほうが早かったんじゃないか。
「でもしばらくしておじいちゃんも死んじゃったから、あまり口にしないようになったしね」
「で、そのおじいちゃんのとこってのはいったいどこ?」
有紀は身をのりだして聞いていた。
「なによ有紀。今更なにをするっていうの」
「いいからお願い!」
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