パステルグリーンの色彩で―8

襖が開いて、顔が見えなくなるほど積み上がったアルバムを持って、よろめきながら母が入ってきた。
「なんだよ。こんなにあるのか!?」
「当たり前です。一歳につき、一冊づつありますからね」
ドサッとテーブルの上に放った。長い間ほかっていたのだろう、ほこりが舞い上がる。
たくさんありすぎると思ったが、年別に別れているなら探しやすいかもしれない。
「小学校一、ニ年のころのはどれ?」
「それなら、これかしらね」
積まれていた中から二冊を取り出した。
さっそく開くと、入学式の校門前の写真がでてくる。淡々と学校行事を追っていき、季節ごとの旅行かなんかの家族写真が所々に入ってくる。このころからすでに親父は写っていない。写真を取る一方というわけではなく、仕事で家族サービスゼロだっただけだ。このころはまだ執事のじいさんが生きてたから、写真を取ってたのは執事のじいさんだろう。琴線に触れてくるような写真は見当たらず、二年に移ったが、ここでも一年とたいして変わらない内容しかなかった。
自分の勘違いなのか。しかたなく、幼稚園に遡ることにした。


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