パステルグリーンの色彩で―7
「ゆきちゃんなんかあったの?」
居間の机を挟むように有紀と佐織は座った。必要以上に大きいために、向かい合っていても手が届かないほどはなれてしまう。
それを身を乗りだすように佐織は有紀に話しかけた。
「それをやめろっての。ガキみたいだろ」
「いまさら変えるのってなんか変な感じするからさ。それよかなにがあったの。有紀ちゃんが帰ってくるなんてよっぽどのことでしょ」
妹にはそれとなく愚痴を吐いていたから、なにを思って出ていったのかも薄々気付いていたのだろう。
「笑うなよ」
「笑わないって」
そうはいっても笑うだろうなと思いつつも話すことにする。
「最近な、悪夢をよく見るだ。同じのばっかな」
「ふーん。で、それがどうして帰ってくる理由になるわけ?」
「それがなんとなくなんだが、ガキのころ見た覚えがあるようなないような」
「で、それを調べてみるために帰ってきたんだ」
「そういうこと」
「なんか、どーでもいいことのようにも思えるんだけど」
佐織は笑わなかったかわりにあきれた。そんなもんだろう。
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