パステルグリーンの色彩で―4

「うわああぁぁぁ〜〜!!!」
まただった。
いつものように見てしまう夢。
得体の知れない悪意から逃れようと走り出し、見えもしないのに、追い付かれると感じると目が覚めてしまう。
「まだ三時半か」
ベッドのすぐそばのテーブルに置いてある目覚まし時計を見て、有紀はつぶやくように言った。また夢が気になって寝れそうにないと感じて、目覚ましのスイッチをオフにした。何があるというのだろう。いや、何があったというのだろう。
悲しいかな有紀の記憶の中にあの風景はない。いや、正しくはあるはずだが、記憶の引き出しから捜しだせれない。あの森にはいったことがあるはず、想像だとは考えかれないリアルなものがあった。最後まで夢を見ることさえできれば、この疑問はすぐに解けるはずなのだが、精神が持たない。
それだけ思い出したくないことなのかもしれない。
ならば、なぜ今になって有紀はあのような夢を見出したというのだろう。
カレンダーとしての機能性を完全に無視をした、ある意味機能的なカレンダーを見て有紀はつぶやいた。
「夏休みだし家に帰ってみるか」


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