パステルグリーンの色彩で―2
眠りは浅く、深い。深いようでいて、浅くもある。
夢だと理解しつつ見る夢もあれば、理解できないまま終わる夢もある。
ならば、有紀が見る夢はなんなのだろう。ここのところ同じ夢をよく見る。それは夢にしてはあまりにリアルな感覚を与え、デジャビュさえ感じていた。同じ夢を続けて見ているために起きるものとも思えなかった。
確かに有紀が過去に経験したように思われること。少なくとも、夢の中にでてくるあの風景だけは間違いなく知っているはずだ。
しかし、有紀が夢を見ながらそこまで考えると、プロテクトでもかけられているかのように、必ずうつつへと戻らされてしまう。
目覚めて気が付くことは、シーツまで濡らすほど汗をかいているということ。それだけだった。
起きている時に思いだそうとしても記憶にまったく残っていない風景。
幼き日のことも思いだそうとしてみたが、細かいことまでは思い出せない。
繰り返すうちに、有紀はおかしなことに気が付いた。
小学校。それも一年の頃の記憶が抜けているということ。
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