パステルグリーンの色彩で―14

佐織がどこにしよなどと騒いでいるのを横目に見ながら、有紀は階段を上がってすぐの部屋のドアを開けた。
少しきしむ音が聞こえたものの、以外とスムーズにドアは開いた。部屋の中にほこりっぽさはあるものの、十年分のほこりというわけではないようだ。定期的に掃除をさせていたんだろう。
間取りはホテルの個室からユニットバスをなくしたような感じだった。ベッドが二つ並べられ、その奥の窓ぎわに藤性のテーブルと椅子がある。
ベッドの上に手荷物を放り投げると、有紀はカーテンを開けた。
さしこむ日差しに有紀は片手で目を覆った。すぐに光になれて窓からの景色を眺めて見るが、よいものとは到底言えなかった。
なにしろ、森が続いているだけの退屈な景色。緑だけしかない。手前は庭らしいのだが、家の中とは違い雑草だらけで見る陰もない。試しにと思いテレビをつけてみる。
受信状態は以外にいいようだが、見たこともない番組だ。放送エリアが違うということだろう。
「ゆきちゃん、下いこー」
廊下から佐織に呼ばれて、有紀はしかたなく一階にいくことにした。本当はもうしこし、部屋の中をチェックしておきたかったのだ。


次へ
TOP