パステルグリーンの色彩で―1
ブブブブブブ
絶えることなく続く音が、いくつもの泡をつくり、泡は水面まできては消えていく。
流れのなかにない水に酸素を混ぜるための行為は終わらない。
水面にパラリと、舞い散った木の葉が川面に浮かぶかのように、緑色をしたモノが波紋をつくる。
それに水槽の魚たちは我も我もとよってくる。
有紀にとって、この瞬間が楽しみのひとつだ。
魚たちが食べ尽くすと、少し離れたベッドに座り水槽を眺める。
食べたばかりであっても、変わらない様子で泳いでいる。
緑がかった透明感のある液体。
有紀は部屋にいる時が一番落ち着く。理由は分かりきっていたし、それがおかしなことだと思ったこともない。それが有紀にとって自然であるから。
変わらぬ日々が今日も終わろうとしていた。
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