聖夜は眠れない―8
三崎はトイレに駆け込むととりあえず用をたした。
不自然な呼び出しで、まさかなとは思いつつも部屋の中をチェックしたがなにもそれとわかるものはない。あまりにキョロキョロしすぎて変に思われたかもしれないが。
あとはクローゼットとユニットバスくらいしかなかったが、丁度尿意を感じたのでユニットバスからあたっておくことにしたのだ。
ドアを開けると、防水カーテンが妙なシルエットを映している。最悪の予想はビンゴしたのだろうが、先にトイレすることにした。漏らすわけにはいかない。
手を拭くと、カーテンをいっきに開けた。
湯の張ってないバスタブに、服をきたままの人間が入っている。頭からは赤いモノがたれているし、腹の上にはフライパンがおいてある。
覚悟していたとはいえ、やはりショックは大きい。小さい悲鳴をあげていた。
もしかしたらまだ息があるかもと思って除き込む。
よく見るような間をもたせることなく、声がかかる。
「それをね。一緒に処分してほしいの。あなただから頼むの、お願い」
もっともされたくないお願いの一つだ。
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