聖夜は眠れない―6

美和子は落ち着かない気持ちでいっぱいだった。
そわそわと時計に幾度も目をやるが、美和子が思うほどに時は進んでいない。三崎に電話してから二十分くらいしかたっていない。
少しは落ち着かなくてはと、掃除でもしてみようかとソファーから立ち上がる。
ピンポーン
それをまっていたかのようなタイミングでチャイムは鳴らされた。美和子は部屋をぐるりと見渡し、それとわかるものがないか確認をしてからドアへ向かう。
のぞき穴から見える姿は確に三崎だった。
その姿を見ても、落ち着くわけにはいかないし、落ち着くこともできなかった。
深呼吸をしたあとでドアを開けた。
「ごめんね。急に呼び出したりして」
「いやいや、いつでも呼んでくださいよ」
照れたのだろう。三崎は頭をかいた。
「あっ、入って入って。ちょっと散らかってるけど」
三崎は進められるままに入ってくる。初めてくるところではあがりづらいと思い、美和子は先に部屋へと移動した。
タチンという音がしたので後ろ手にロックをしたのだろう。
その後も物珍しげにキョロキョロと視線が落ち着かない。


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