聖夜は眠れない―4

「ふぅ」
ベッドに座りながら電話をしていた美和子は、サイドテーブルに置かれた電話に受話器を戻すと、安堵したのだろう大きく息を吐いた。
三崎がクリスマスに男ばかりでパーティーをすることは、数日前に本人から聞いていた。誰かを呼ばなければならないという状況になって、一番最初に思い浮かんだのが三崎だった。
三崎であるば、例えパーティーの中であれ、まず間違いなく抜け出してくると思ったからだ。
三崎が女にだらしないからではない。露骨に美和子にアプローチをしてきたからだ。
いや、それだけではない。三崎の人柄もあった。頼り無さそうにみえるが、その実機転が利いておもいやりがある。
そして、美和子の思惑通りとなった。
三崎が何を考えてくるか知らないが、美和子の目的までは分からないだろう。
「あれ見たらなんて言うかな、三崎くん」
つぶやいたのは一人ごと。聞くべき人はいなかったが、聞こえてしまう人はいた。
バスルーム。防水カーテンに隠されたその奥に、赤くそまったあれが。


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