聖夜は眠れない―2
「あっ」
驚きを隠しつつもついだしてしまった声は、どこか間の抜けた声になっていた。
「なんだなんだぁ。まさかほんとに女なのかぁ」
原田が覗き込んでくるのを陽一は防ぐことができなかった。
携帯電話の画面は、まぎれもなく女の名前で着信を知らせていた。
「なっ、マジで女じゃねぇか。こんのうらぎりもんがぁ!」
一緒に飲んでた奴等からのイタイ視線を感じたが、こんなことでくじけるわけにはいかない。
「はい、陽一です。美和ちゃんなんかあったの?」
陽一に電話してきたのは、バイト仲間で片想い中の副島美和子だった。片想いでアタックをしてみても、美和子には彼氏がいるため、中途半端になっているのが現状だった。
(今よかったかな?)
「あーもう、ぜんぜん大丈夫。それよかなんかあったの?」
クリスマスに電話があった。その事実だけで舞い上がってしまった陽一は、声が上擦っていた。
(それなんだけど。突然で悪いんだけど、今からうちこれないかな?)
うれしさがつき抜けて一瞬ショート寸前までなった陽一だった。
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