聖夜は眠れない―14
「こら、そこ、笑ってんじゃねぇ。まったく、それがキャリアのすることか!」
先ほどからのクルクル変わる展開に美和子の頭は崩壊しそうだった。
健治に掴まれていた三崎は、手首をとると、簡単に健治をソファに崩し落とした。
「けんちゃん。残念だけど、あいつ本物の刑事なんだわ。考えが甘いよ。ぼくが連絡いれてたのは、刑事の友達なんだからね。だから、本当だったらあいつに引き渡す気でいたわけ」
三崎は健治をほどいたが、間接を極められていたのだろう、健治は腕を押さえてソファに座ったままだった。
「ついでにいっておくと、けんちゃんが生きてるのもわかってたよ。死んでるか、生きてるかは見ればわかる。フリをしてても本物になれはしないさ」
三崎は周りを見渡して、
「さてと、じゃあもういいかな。えらい目にあったけど、せっかくのイブなんだから楽しみなよ、お二人さん」
そう言い残し、三崎は刑事と一緒に出ていった。
美和子はそれをただ見送るだけで、健治と別れることができなかったという現実のみが残っていた。
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