聖夜は眠れない―15
かなりの疲れがあった。それは精神的なものであったが、三崎には十分すぎる疲労だ。
「やれやれ、やっかいなことに巻き込みやがって。奇跡的にイブに休みがとれたってのに、おたく集団の飲み会に参加させられるは、殺人もどきの茶番に巻き込まれるは」
「おれのせいだっての?」
「他に誰がいる」
なにもいいかえすこてができなかった。
「しかたねぇ。これからおまえんちで飲み直しな!当然おごりで」「なんだと!」
「そのくらいいいだろ」
三崎のいいたかったのはそのことではない。まがりなりにも、性別女とイブを二人っきりですごすことに抵抗があったのだ。
「あのな、もすこしらしくできない」
「らしくないか?」
「女らしいって意味だよ」
原田は豪快に笑いだした。しかし、すぐに真面目な顔になって、
「もし女らしくしたら、名前で呼んでくれるか?」
「考えとく」
三崎がそういうと、満面の笑みを浮かべ、腕をからませた。
「じゃ、飲み直しだぁ!」
その時、先ほどまでいた部屋のほうから叫び声が聞こえてきた。
三崎と原田は顔をみあわせた。原田が落胆した声でいった。
「仕事できたみたいだ」
どうやら眠れそうにないようだ。 FIN
感想を書く
TOP