ダイブ―4
祐理の様子が変わったのは、その翌日からだった。
たまに私の顔を見ては、何か言いかけてやめてしまう。
じれったくなってはっきり言いなよと詰めよっても、なんだかんだと話を逸らすだけ、肝心なことは隠しているみたいだった。
そんな感じが十日くらい続いただろうか、深夜に祐理から電話が入った。
『お願い、真面目に聞いてね』
いつにない様子だったが、私はペースを乱したくない。
「なになに、言ってみなさいよ」
『尚斗に告白された』
やっぱりか。尚斗の気持ちはそんなところだとは思っていた。
「よかったじゃん」
祐理も尚斗が好きだと思っていた私は、祝福の言葉をかけた。心から祝福できている自信はなかった。
『でも、断ったから』
意外な返事だった。
「なんで!もしかして私のせい?だったらきにしないでよ」
『そうじゃない。でも、沙耶のせい』
わけがわからなくなってきた。私のせいじゃないのに、私のせいって。
『私ね、沙耶のことが好き』
頭から指先へとしびれが流れていく。祐理はなんと言った。それはいったいどんな意味で。
『尚斗の言った友達って、多分、私の事。沙耶が尚斗のこと好きだって言ったの、すごく辛かった』
祐理の独白は続くが、私には届いてこない。
私がどんな答えをだしたところで、私は友達を失ってしまう。
YESなら祐理との関係は続くだろうが、そんな選択できるはずがない。
NOだとして、これまでと同じ関係が続けれるわけがない。
気持ちは考えるまでもなくNOなのだが、祐理と友達でなくなるのは悲しい。多分、尚斗にフラれた時より落ち込んでしまう。
私はどうすればいい
私は誰を好きでいれば
私は誰が好きなんだろう
私は
私は
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