ダイブ―3
「あー、やっぱダメだったよぉ」
私は帰りに祐理とファミレスによった。私に付き合わせたんだから、おごると言ったんだけど、祐理はそれはできないと言いながらも付き合ってくれた。
「そんなに荒れないでよ、沙耶」
「このタイミングで荒れないで、いつ荒れるっていうのよ。フラれたのよ。しかも、この私が」
泣かせることはあっても泣かされることなんてなかったんだから。
「でもさ、それは食べ過ぎだって。太るよ、それじゃ」
「今日だけよぉ」
「でも、もう四杯目だよ」
「いいの。私は太らない体質なんだから」
「先月二キロ増えちゃったって泣きついたのは誰よ」
「うっ、痛いとこつくなぁ」
「だから、もうやめなさい。これは」
祐理は私からパフェとスプーンを奪い取る。
「私がいただきます」
「結局自分が食べたかっただけじゃん」
「えへへ〜」
「まったくこいつは」
「う〜ん、甘くておいし〜い」
そりゃそうだよパフェなんだもの。
「そういやさ、尚斗が気になること言うんだよね。なんか、あいつの友達に私のこと好きなやついるんだって。キモいやつじゃなきゃいいんだけど」
「付き合う気なの、沙耶?」
「この傷心を癒してくれるならね。今なら間口は広くなってるよ」
「そんな簡単に付き合っちゃうわけ?」
「いやならさっさと別れるだけだしぃ」
「これだから沙耶は」
『男を泣かせるのよ』
祐理の口癖だから、ハモらせるのも簡単だ。一時失恋したことを忘れることができた。
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