B-Wars

「よかった。まだなんとかなってる」
「いやぁ、もう、遅いよ」
「なんですとぉ!」
未季也がびびりながら声のほうを見ると、野球ボールサイズの丸い物体が浮かんでいる。未季也はこれがバケモノかと思った。これなら勝てるかもと拳を握る。
「死ねぇ。光矢の敵ぃ!」
振り回す拳になんの感触もなかった。当たっているはずなのに、素通りしている。
「無駄無駄。当たりゃしないって」
「なんなんだ、おまえは」
「正義の使者だ」
胸をはらんばかりの自信ありげな声だった。「自分で言う奴がいるかなぁ!」
「ここにいる」
「ふざけんなぁ!てめえが正義の使者なら、なぜ光矢を見殺しにしたぁ!?」
「失敬な。わたしのおかげで光矢はバケモノに勝てたんじゃないか」
「どういうことだ?」「つまり、バケモノを駆逐する力を与えたのがわたしなのだ」
未季也は丸い物体がどういう存在であるのか、そこでやっと認識した。
「ほほう、ということは、貴様にとり憑かれていなければ、光矢は死ななかったということか」
「なっ!そんな獲物をロックオンした略奪者の目でわたしを見るなぁ!」
「無理だな。貴様こそ光矢の敵だ」

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