B-Wars

「弱きになるな!」
たきつけたこともあるので、光矢に死なれたら後味が悪い。
「くはっ」
外見からは何もないように見えるのに、光矢は血を吐いた。
「おい!死ぬんじゃねぇぞ!」
「いいから、聞け」
「聞くから、死ぬな」少しでも希望をもってもらうため、未季也は気持ちをまぎらわせればと聞くことにした。「バケモノを見る力は、その力を持ってた奴が死ぬとき、一番近くにいる、適性者に、受け継がれる。この場合、たぶん、おまえだ」「い〜や〜。まだ死にたくねぇ〜」
光矢が言いきる前に未季也は逃げ出した。
「ぐほっ」
上体を支えていた未季也が逃げたので、光矢は路面に頭をぶつけた。
「いいな、おれが遠くまで逃げるまで死ぬんじゃねぇぞ」
自分の身に降りかかるとなると、もはや光矢のことなど二の次。
せいぜい虫の息で長生きしてくれ。
未季也は光矢が死んだがどうか気になり、たびたび振り返りながら走っていた。
もしかしたら、もうバケモノが見えているんじゃないかと不安でたまらない。
横を救急車が通りすぎたところで、足を止めた。
かなり遠くな離れたところに見えるのは、潰れた車や、倒れた街路樹でバケモノは見えなかった。

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