B-Wars
「ひさしぶり、光」
のんきに未季也が答えているうちに、光は未季也のとこまで来てしまった。
「なにしてるわけ?」光は未季也の問掛けに答えることなく、未季也の腕を掴んで無理矢理走らせる。
「死にたくなかったら、走るんだ」
「はぁ?」
「おまえにゃ見えないだろうけど、後ろからバケモノが追い掛けてきてんだ」
未季也にはバケモノなんて見えなかったから、信用なんてできなかった。とはいえ、なぎ倒されていく街路樹を見ると、それを否定するのも躊躇われた。
「だぁぁぁ、おじさん危ないから逃げて!」正面から歩いてくる出勤途中のサラリーマンに、光は叫ぶ。サラリーマンはいかれてんのかこいつとでも思ったのだろう、口元を少しあげてひねた笑いを浮かべる。
やな感じの奴だなと未季也が思った瞬間、サラリーマンの体が空中にふっとんだ。そりゃもう、まるで少年マンガの格闘シーンで必殺技が決まった瞬間みたいだ。
高く舞い上がったサラリーマンは、やがて重力に負けて上昇をやめ、ゴムなしバンジーを決めてしまった。
さすがに即死したのだろう、ピクリとも動かない。
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