財布の落とし主
3の1
悲鳴を上げたのは法子である。
法子は落とし主を探しているうちに、思わぬ場面に出くわしていた。
二人の男が刃物を手にして取っ組み合っているのである。
こんな場面に出くわしたことのない法子は、当然のことながら大声で悲鳴を上げた。
取っ組み合っていた二人の男のうち、背広姿の大柄な方が法子の方へ顔を向けた。
その隙にもう一人の細身の男が手にしていたナイフで相手に切りつける。
大柄な男が低くうめいた。右腕から血が流れている。
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