千姫の詩

夢月夜
―9―
「…でもどうして夢に…?」
「誰かが泣いていた…」
「…!」
「君にも聞こえた?それに共鳴して呼び寄せられたんだよ。」
「そうなの…。…コホッコホ…」
「少し冷えてきたね。襖、閉めていい?」
「うん…ありがとう…」
「いや…。(…花が…また咲き始めている…)」


「琴姫様、今日はお体の具合いかがですか?」
「……駄目…ね…。」
「お可愛そうに…庭の寒桜はずいぶん咲いてきましたのにねえ…でもきっと、お花見も出来るようになりますよ。」
「うん…」

桜の花が咲けば咲くほど…私は…


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