千姫の詩

夢月夜
―10―
「琴姫、お見舞いに来たよ。」
「まあ海部の宮様。姫様は先ほどお休みになられて…」
「そうか…。では一目見たら帰るよ。」

「…姫の病は重いのかい?」
「薬師に診てもらったのですが原因が不明で…その後陰陽師の方が見えられてお祓いをしてくださると。」
「陰陽師か…」
「海部の宮様が来られた事を知ったら、姫様喜ばれますわ。うなされる度にお名前を呼ばれていた事がございましたし…」
「私の名を?」
「ええ。」
「姫が…」



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