千姫の詩

夢月夜
―11―
琴姫と語らいをしたのはほんのわずかな時間だった…
それでも姫はうわごとで私の名を呼んでくれていた…

病が治ったら
すぐにでも結婚を申し込もう
はじめはただ美しい姫だというので会いにきたけれど…
自分でも信じられない

今はこんなにも彼女が愛しい…

「失礼。」
「…。あの、…」
「はい?」
「あなたは陰陽師の方か?」
「…そうです。」
「琴姫のこと、よろしくお願いします。彼女とは結婚の約束をしているのです。」
「…。おまかせください。必ず、病は治します…。」

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