千姫の詩

夢月夜
―7―

朝…
そう、あれは夢なのよね…
でも…手に触れた温もりがまだ残ってるわ…

不思議な人


「まあ琴姫様!起き上がられて、よろしいのですか?」
「今朝はだいぶ楽なの…。ねえ、襖を開けておいてくれない?桜を見たいから…」
「まだ寒いですよ?」
「いいの、平気よ。」

寒桜…昨日のままだわ
ほとんど咲いてない…

あの人が助けてくれたから?
そうだとしたら…あの桜が満開になる時…私は死んでしまうの…?

「琴…どうしたんだ、襖など開けて。」
「おとうさま…後ろの方は?」

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