千姫の詩

夢月夜
―6―
『え…?』

誰…?
きれいな人…

『あの桜…今朝もあんなに咲いていた?』

『…いいえ…ほんの一枝で…』

『あれは君の生命を吸い取って咲いているんだ。』

『私の命…?』

『そう…。だからあの桜が満開になった時、君の生命は逆に枯れてしまう…』

『そんな…。』

『とにかくここから出よう。』

『待って…足が…』

『…さあ、つかまって。もう大丈夫だ。』

『…あなたは誰なの?』

『直にわかる…また会えるよ…』

『待って…行かないで…』

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