千姫の詩
*
夢月夜
―6―
『え…?』
誰…?
きれいな人…
『あの桜…今朝もあんなに咲いていた?』
『…いいえ…ほんの一枝で…』
『あれは君の生命を吸い取って咲いているんだ。』
『私の命…?』
『そう…。だからあの桜が満開になった時、君の生命は逆に枯れてしまう…』
『そんな…。』
『とにかくここから出よう。』
『待って…足が…』
『…さあ、つかまって。もう大丈夫だ。』
『…あなたは誰なの?』
『直にわかる…また会えるよ…』
『待って…行かないで…』
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