千姫の詩
*
夢月夜
―5―
「琴…まだ苦しいかい?」
「おとうさま…おかあさま……海部の宮様は…?」
「もうお帰りになられた。」
「またお見舞いに来て下さるそうよ。」
「そう…」
「それから陰陽師を呼んでおいた。明日には来るそうだ。」
「陰陽師…?」
「今夜はもうお休みなさい。明日にはきっと原因がわかるわ…。」
私…一体どうなってしまうの…?
紅い月…
またあの夢だわ…
誰か泣いてる
でもどこ…?
あれは
庭の寒桜…どうして…
『近づいては駄目だ。』
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