千姫の詩

夢月夜
―5―
「琴…まだ苦しいかい?」
「おとうさま…おかあさま……海部の宮様は…?」
「もうお帰りになられた。」
「またお見舞いに来て下さるそうよ。」
「そう…」
「それから陰陽師を呼んでおいた。明日には来るそうだ。」
「陰陽師…?」
「今夜はもうお休みなさい。明日にはきっと原因がわかるわ…。」

私…一体どうなってしまうの…?


紅い月…

またあの夢だわ…

誰か泣いてる

でもどこ…?

あれは

庭の寒桜…どうして…

『近づいては駄目だ。』



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