千姫の詩

夢月夜
―3―
「誰かいるの…?」
「…」
「…寝てる?」

優しそうな顔…

「…。」
「あ、こんにちは。ここで何してるの?」
「…君は…琴姫?」
「ええ…どうして…あっ、じゃああなたが海部の宮様?」
「そうだよ。姫の身支度がまだだというんで、ここで待っていたら寝てしまって…まさかこんな形で会えるとはね。」
「いつ来られたの?」
「一刻ほど前だよ。」
「それじゃあ海部の宮様が早すぎます。」
「そうかな…。だけど会えて良かった。着物、似合っているよ。」
「…ありがとうございます。」


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