千姫の詩

夢月夜
―2―
わかってる
同じ歳の姫たちはほとんど結婚してしまった…
私も幸せになりたい
でも自分の意志で恋をしたいの
誰かに決められた運命なんて…

「まあ姫様、庭に寒桜が咲いていますよ。」
「もうそんな季節なんですね。何だか暖かくなった気になりますわ。」
「ほんと…。ね、近くまで行って見てもいい?」
「いいですけど…お着物が汚れないように気をつけて。」
「わかってるわ。」

「この木に花がついたの初めて見たわ。桜より赤が強いみたい…。」
ガサッ
「誰?」

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