千姫の詩
*
夢月夜
―1―
紅い月…
…綺麗…
でも何だろう…見ていると…
悲しくなる…
誰?
泣いてるの?
月が…
落ちてくる…?
…っ
「姫?」
「…あ、おかあさま…」
「…まあそんなに汗をかいて。どこか苦しい?」
「怖い夢を見て…」
「そうなの…今人を呼んで来るから、すぐ着替えなさい。今日は海部の宮様がみえられる日ですからね。」
「…どうしても会わなきゃいけないの?」
「あなたに会いに来られるのよ。もう16ですもの、結婚も考えなくてはね。」
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