闇家(9)
穴を通り抜けた先は、細長い廊下だった。人二人分がギリギリといったところだ。
後ろからついてくる志穂にも注意を払いながら、忍は前へ進んで行った。
壁には所々に絵が飾ってあった。どんな絵なのか、観ようにもひどく破れていて観れたものではない。それらの絵は、何だか故意に引き裂かれているような気がした。
「忍、見て。」
ふいに志穂が声をかけた。
「この絵だけ、きれいなままなの。女の人が描かれてる…。」
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