闇家(10)
白いドレスを着た女性が、庭を背景に描かれている。
「誰だろう?」
「さあ。だけど、何だか寂しい絵だね。」
「ああ。この背景って、庭の噴水じゃないか?ほら、来るとき見てた――」
ガタン
「!」「!?」
二階の方だろうか、かすかに物音がした。二人の体に緊張が走る。
「何?今の」
志穂の顔は青ざめていた。両手をかたく握りしめて、辺りの気配をうかがう。
「シッ!静かに…」
忍が小声でたしなめた。
誰かがいる。
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