闇家(11)


ギィ…ッ

二人は反射的に音のする方を見た。
食堂のドアだ。
音の主は、移動している。しかもこっちにやって来る。
「来い、志穂。」
忍は志穂の手をつかみ、素早く廊下の奥へ走った。
「どうするの!?」
「逃げるんだ。顔をあわせちゃいけない気がする…っ」
折れ曲がった廊下を走りきると、壁に行き当たった。妖精の像が壁に埋め込まれた形になっている。
その他に、目立ったものは見当たらない。
忍は焦った。
「畜生っ!行き止まりだ!!」

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