闇家(8)
食堂から入った部屋はキッチンだった。みてくれはまるで違うが、広さはレストランの厨房並だ。窓が多い部屋なので、食堂とは一変して明るかった。志穂も暗くなければ平気らしい。食器棚の中身をしげしげと見つめていた。
「この部屋も何にもないみたいだな。次、行くか?」
忍は左側の扉を指した。といっても、真ん中に大きな穴が空いていて、通り抜けるだけでよさそうだ。
「うん…」
志穂はそう言って鍋類の陳列から目を離した。
「(俺、何か悪いことしたのか?)」
忍は志穂の振る舞いに、何だか気圧されてしまった。
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