闇家(70)
「わかんないわ。それは、当人たちが決めることだから…。私は、そうだって信じたいけど。」
初音は伏せていた顔を上げて、言った。
「うん、僕も。」
と、敏樹は出口に向かって歩きだした。
「おい、どこ行くんだ…?」
「お墓参りだよ。何となく、行きたいんだ。」
敏樹は振り返って言った。
その顔を見て一輝は、
「よし、俺も行く!」
そう言って駆けて行った。
「何よ、二人が行くなら私も行くわ。」
初音はちょっと頬笑んだ。
まだ、自分たちにはやれることがあるんだ。
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