闇家(69)
皮肉を言いながらも、安部初音は二人に近寄っていった。
「そう言うなよ。あれから…立ち直れるほど時が経ったわけじゃないんだぜ。」
「…そうよね。」
初音はフェンスに寄りかかって言った。
「私はまだ…実感出来ないわ…」
「…悔しいよな…」
「うん…」
束の間の沈黙があった。赤焼けた空を、2羽のツバメが楽しそうに羽ばたいてゆく。
「最後…さ、あれで良かったと思うか?俺…わけわかんなくなってたけど、桜井たちにとって最良のことしてやれたのかな…」
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