闇家(63)
「忍!おいっ何とか言えよ!!」
「桜井!」
…志穂…
そうだ、
俺も一緒に行こう。志穂の傍にいてやろう。
最後まで怖い思いばかりさせて…
志穂、俺もすぐ行くからな…
「忍!!…おい、あれ…」
「うそ…!…志穂…だわ…」
初音は両手で口元を覆った。
いつの間にか涙があふれていた。彼女はその能力ゆえに、気付いたのだった。
志穂が、最後の言葉を伝えるために、必死で抵抗している…消えまいとしている。
けれど忍は気付いていなかった。
ただ、横たわる志穂を見つめて…
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