闇家(62)


忍は一気にベッドまで駆け寄った。両脇にいた二人には目もくれずに、まっすぐ志穂を見おろす…。
蒼白な顔…
これではまるで…
本当に…
…死人…

ポタッ
涙の雫が志穂の頬に落ちる。
また、志穂を守ってやれなかった…

「う…っ…っ、……志穂ぉ…」
忍がどんなに泣いても、それを受け止める志穂はもういない。目の前の彼女はすでに、ただのイレモノになってしまった。
[それほど悲しいですか…それならあなたに後を追わせてあげましょう。彼女も喜ぶでしょう…]
婦人は、そう言って忍の肩を抱いた。


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