闇家(61)



忍はほとんど懇願するような気持ちだった。志穂の横たわる姿を見て、もしかしたら、という思いがどんどん大きくなっていた。あまりの恐怖に押しつぶされそうなほどに。
[ああ…。彼女ならもう起き上がることは無いわ、永遠に…]
婦人はにっこりと笑った。
「……!」
「そんな!森野っ」
一輝が叫んだ。しかし志穂はぴくりともしない。
[聞こえるはずがないでしょう?あの子はすでに`死んだ'のよ。]
「そ…んな…。志穂…」
「森野さんが…死んだ…?」

「志穂…志穂…!!志穂っっ」


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