闇家(59)
「お、おい!忍?」
一輝が思わず声をあげた。得体の知れないゾンビのような化け物が今にも襲いかかろうとしているのに、忍は固まったままだ。
「忍!!」
[…あなた、いいから放っておきなさい。それよりこちらへ、儀式が始まらないわ…]
冷笑の女性が声をかけた。途端に化け物はきびすをかえしてベッドに近づいていく。
[いいわ…そこに立って…]
「な…?今、『あなた』って?」
一輝が忍に駆け寄った。
「…。噂は本当だった?死んだ夫だってのか?あの貴婦人の…」
忍はわけがわからなくなった。
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