闇家(55)

最後に敏樹が降りたのを確認すると、忍はその奇妙な空間を見渡した。
上は微かに光の見える丸い穴。
そして一筋のまっすぐな通路が先へ延びていた。
距離から考えて、ここは地下室か…湿った空気に、忍は息をのんだ。
壁は狭く、二人並んで歩くのは無理だろう。
忍は、この館の一階で見た廊下を思い出した。
絵こそ飾られてはいないが、雰囲気が似ていたのだ。
何かまた嫌な事が起こる、そんな気がした…。


コツ…コツ…
と、なるべく音をたてないように石段を降りる。
四人は無言で下へと進んだ…


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