闇家(46)

2階へ上がりきって、一輝は思わず声をあげた。廃墟というからには何十年も使われていない様のそれなりの光景を想像してはいたが、まさかこんなにも荒らされているとは思わなかったのだ。
部屋の中やその外の廊下にまで、タンスから何から全てぐちゃぐちゃに投げ出されていた。
「空き家ドロボウでも入ったんじゃない?」
敏樹はそれよりも化け物の方が気になるらしい。
「でもこのほこり…すごい量だ。」
顔をしかめながら、忍は廊下に転がる椅子を持ち上げて端の方へ投った。
「で、初音。どこから気配感じる…?」

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