闇家(43)
忍たちは闇の中にそびえる洋館を目の前にしていた。静寂の中、忍の耳には志穂の苦しそうな息づかいが大きく聞こえている。
忍は覚悟を決め、錆だらけで今にも崩れそうな門を押した…
「お邪魔しまーす…」
敏樹が恐々とつぶやく。忍は見覚えのある玄関ホールの中央に、堂々と進んでいく初音の姿を見ていた。その初音をライトで照らしながら一輝が聞いた。
「何かいるのか?そこに。」
「いいえ…感じとってるの。」
初音は目を閉じ両手を広げていた。
「感じる…って?」
「しっ。もう黙って。」
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