闇家(39)
太陽は半分山に隠れ、空をオレンジ色に照らした。
それは薄暗くなった病室をも染めていた。
志穂は半身に光を受け、苦しそうに顔を歪めている…
「志穂…」
忍はそっとその手を握った。志穂は弱々しく力を入れる。汗ばんだ熱い手…忍は自分を呪いたくなった。
「俺のせいだ…」
「自分を責めることはないよ。」
志穂に付き添っていた父親が忍の肩に優しく手を置く。
「しかし…原因が解らないらしい。医者はどう手を施したらいいのかと頭を抱えていたよ。」
志穂の父親はかぶりを振った。
次へ
TOP