闇家(38)


忍は志穂の家のチャイムを鳴らした。
「おかしいな。」
玄関には誰も現れる気配がない。
「…何かあったのかしら。」
もう一度鳴らしてみる。すると―
「まあ、ごめんなさい」
奥から志穂の母親が小走りに駆けて来た。
「こんにちは。あの〜、志穂の様子、どうですか?」
忍がそう聞くなり、志穂の母親の表情は暗くなった。
「…実はね、あの子、今日から入院することになったのよ。」
「えっ…そんなにひどいんですか!?」
志穂の母親は首を横に振った。
「熱が下がらないのよ。」

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